百万人を笑顔にする「新しい日本式経営スタイル」ブログ

「エゴと不安」がなくなり「貢献と自立」をベースにした新しい経営スタイルを日本から世界へ

環境変化と日本的経営(1)(日経新聞S.ヴォーケル氏寄稿より)

日本企業(主に製造業でした)が強い時代は日本の経営方法が世界的に注目されました。

その日本独自のスタイルは三種の神器とも言われました。

終身雇用年功序列企業別労働組合

 

昨今では、日本企業の経営スタイルに注目が集まりません。

 

逆に言えば

「欧米流が復権している」

ということです。

 

 

今回の記事は「日本企業の経営スタイルが現在の環境とマッチしていない」ことについて書いていきます。

 

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 ーー目次ーー

 

 

具体的な環境変化とは(概要)

 

環境変化については日経新聞の経済教室(2018.8.10)S.ヴォーゲルさんの寄稿がうまくまとまっていましたので引用します。

(多少の変更があります)

 

  1. 価値創造の主力は製造部門からサービス部門へ移行
  2. 製造自体がサービスやソフトウェアと密接に結びつく
  3. 製造プロセスはインテグラル(擦り合わせ)方式からモジュール(組み合わせ)方式へ
  4. 国内供給ネットワークからグローバルなサプライチェーン
  5. 内製からオープンイノベーション

 

この5つのまとめ方は秀逸だと思います。

 

さらに、

 6.    IT化によるスピードの変化

    7.   欧米流ビジネススタンダードの導入

 

この2つを加えたいと思います。

 

 

では順に追って説明していきます。

(今回の記事では1〜3について)

 

 

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1.価値創造の主力は製造部門からサービス部門へ

 

日本も含め産業別の雇用人口は1次産業から2次産業へ2次産業から3次産業へと一方方向へ移っています。

 

現在では先進国の第二次産業の割合は2割台になっており3次産業が7割以上になっています。

 

 

つまり、産業の主役が3次産業に移っているとも言えます。

 

主な国の産業別雇用人口の割合を記載します。

 

【雇用労働者産業別割合(2016)】

国名   1次産業 2次産業 3次産業

日本     3.5         25.2          71.3

韓国     4.9         24.9          70.2

中国   27.7         28.8          43.5

インド  47.1         24.4          28.6

イギリス   1.1         18.4          80.5

イタリア   3.9         26.1          70.0

フランス   2.8         20.0          77.2      

ドイツ         1.3         27.4          71.3

ロシア         6.7         27.0          66.3

アメリカ      1.6         18.4          80.0

カナダ         1.5         19.5          79.0

メキシコ    13.0         25.6          61.4

ブラジル    10.2         20.9          68.9

 

出典:帝国書院

他の国が気になる方は下をクリックしてください。

帝国書院 | 統計資料 世界 面積・人口 雇用労働者産業別割合

 

 

 

日本の産業の発展を見ると戦後の繊維などの軽工業から始まりカメラ、自動車、造船、家電が強い時期がありました。

 

軽工業は欧米より人件費が安いことと品質の良さが特徴でした。

今、軽工業は中国、さらに、その他のアジアへと産地が移っています。

 

その後、欧米から学び、あるいは独自の技術で優れた製品(オートバイや自動車、カメラ、家電など)を作り世界へ輸出していきました。

 

もちろん、今でも日本の製造業は強いと思います。

 

 

 

 

ところが

 

今は、主力は3次産業です。

 

 

大手銀行や証券、マスメディアなどは優れた人材を集めています。

 これらの企業は、国内では強い部分もありますが世界を席巻するようなレベルではないのかもしれません。

 

このように、ビジネスのボリュームが製造業から3次産業に移ったことで日本のアドバンスが小さくなった部分はあります。

 

 

 

2.製造自体がサービスやソフトウェアと密接に結びつく

 

2次産業の3次産業化を意味します。

 

サービスは3次産業そのものですしソフトウエアも、著作物という意味でも3次産業です。(製造業の内製の場合は、2次産業になると思います)

 

オートバイや自動車は製品そのものの性能で客観的に比較することができました。

ここは日本にも強みがあります。

 

 

今は自動車もナビをはじめとしてソフトな面も重視されてきています。

 

また、ブランドイメージも大きな要素です。

客観的な数値に置き換えることの難しい側面です。

 

性能以外の顧客満足という意味では3次産業的かもしれません。

 

日本の製造業に直接関わるサービスやソフトウエアに関しては、単体の3次産業ほど弱い印象はありません。

 

ただ、今後は注意が必要なのかもしれません。

 

 

自動車業界では

  • 自動運転の技術を持つ会社
  • AIテクノロジーに強い会社
  • 配車サービスの会社

とタイアップしています。

 

主と従が入れ替わる可能性もあるのかもしれません。

 

 

 iPhoneを選ぶのは、スマホとしての性能だけで比べてるわけではありません。

 

パソコンやスマホのハードとソフトの関係のように、自動車もハードよりもソフトで選ばれる時代が来ないとも限りません。

 

つまり、車で選ぶのではなく、サービスやソフトウエアで車を選ぶということです。

 

テレビが見られるのなら、どこの会社のテレビでもいいという感じですね。

 

個人的には車に思い入れがあるので、私はそうなりませんが。

 

これからの若い世代は、次のようにサービスを選ぶかもしれません。

 

「車を利便性よくシェアできるサービスを選ぶ。そのサービスの納入業者が、国内外の自動車メーカーだったりする」

このように変化する可能性はあります。

 

 

例えば、デジタルカメラ

専門家やマニア向けのカメラは日本のメーカーが頑張っています。

 

しかし、一般の人はどうでしょうか?

スマホで済ませるから、カメラにはこだわりはない。どこのレンズ、どこのセンサーか知らない」

車も近い将来そうなる可能性もあるということです。

 

 

 

3.プロセスはインテグラル方式からモジュール方式へ

 

これは日本の家電産業が弱体化したことの説明によく使われる理論です。

 

皆さんご存知だと思いますので詳しくは説明しません。

 

 

 

モジュール方式は例えばアップルのiPhoneMacBookなどが典型です。

 

自社にとって最も有利な部品を世界から集めて、組み立てます。

その組み立てだって、自社ではありません。

 

つまり

アップルは製造業というより3次産業です。

組み立てを担当する工場や、部品を生産をする企業は2次産業です。

実際にアップルがアメリカのどの産業としてカウントされているかは、わかりません。

(知っている人がいたら、教えてください)

 

「世界的な規模で販売できる業者」と、「世界的規模で部品を生産できる業者」が協力し合うわです。

 

世界的規模で販売できる業者は間違いなく、世界的な超”大きな企業”です。

 

一方で、部品メーカーは大規模な生産システムをもった資本力の大きい部品メーカーだけではなく、独自の技術を持った企業が食い込むケースもあります。

 

 

日本はこのような部品を調達するにあたって、グローバルな商談というのは、やや苦手なのかもしれません。

 

また

グローバルな販売計画を立てるのが苦手なのかもしれません。

 

 

いずれにしても、世界基準で販売数量を計画し、世界基準で部品を調達するという時代に、日本の強い擦り合わせが大きなメリットにならない製品が増えたのは事実だと思います。

 

 

 

この記事(1)のまとめ

 

環境変化7項目のうちまず、3つを説明しました。

 

1.産業が2次産業から3次産業に移っている

2.製造業も3次産業的な要素が増えている

3.製造業は日本の擦り合わせの強みが出しづらい製品が増えた

 

 

この3つは密接につながっています。

また、次回以降の記事で説明する4〜7の環境変化にも深く関係しています。

 

そして、この環境変化と日本的な経営システムとの相性がよくないのです。

 

 

まだまだ、書きたいのですが

今日のところは、この辺で☆

 

 

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